餓死した英霊たち(筑摩書房)

既にいくつかの文献や書籍でも述べられていますが先の大戦で日本軍の多くは餓死によって死んでいました。ガダルカナル島を略してガ島はその凄惨さから餓島と言われたほどでした。その他にもインパール、フィリピンなど多くの場所で飢餓に苦しんだ事実があります。

『餓死した英霊たち』ではその原因は人為的なものであり、その責任は明瞭であるとしています。食料や医薬品、補給を軽視する流れは国家の「臣民」という人権を軽視した思想を基盤に、精神論を尊び衛生や輜重(補給のこと)の担当兵を一段下に見なすなど広く深く根付いていました。他の部署が出した分析を取り入れず頑なに自分に都合のいい事だけを信じ破滅へと突き進む大本営。

自身も先の大戦に従軍した著者の怒りが冷静な筆致からも滲み出ているのが感じられ、改めてに痛ましい気持ちになります。戦争はほんといい事ないですよ。