クレージー・ランニング(現代書館)

ランニングブームと言われて久しい昨今ですが、日本人とマラソンの関係を振り返ってみると円谷選手の自殺や銀メダリストの「初めて自分を褒めたいと思いました」というコメントなど何とも言えない暗さのようなものが付いて回ります。

『クレージー・ランニング』は円谷幸吉や君原健二という世代に始まり、中山竹通、有森裕子や高橋尚子といった日本女子マラソン、そして現在のランニングブームの中で見え隠れするものを暴いていきます。

その上でそれでも「人はなぜ走るのか?」と問いを投げかける本書は一人の名もなきランナーである店主に改めて走る事を考えさせてくれるとともに、スポーツと国やメディアといったものの関係性のあり方につても考えさせられるものがあります。