石垣りん詩集 (岩波書店)

先日、ご紹介した『早稲田文学増刊女性号』には作家だけでなく女性の詩人も紹介されています。その中で巻頭と巻中の2カ所に作品が掲載された詩人がいます。彼女の作品は教科書にも紹介されているので「石垣りん」という名前をご存知の方も多いのではないでしょうか?店主もまた中学か高校の教科書で彼女の詩に触れガツンとやられてしまいました。同時代の詩人としてはおそらく「自分の感受性くらい」や「倚りかからず」などで有名な茨木のり子さんの方が人気だと思うのですが、時として彼女の凜とした姿勢、言葉に逆にしゅんとなってしまう店主にとってねじめ正一さんをして「触ると血の出るコトバで書かれている」と言わしめた石垣りんの詩は切実で同時に強い共感を抱きます。家族を支えるために14歳から銀行で働き始め、その傍でしばしば呪詛のような詩をいくつも吐き出し、その上で我が身を振り返る。彼女が40歳の時の作品「くらし」はさながらゴヤの『我が子を食らうサトゥルヌス』のよう。そのくらい怖い。けれどその怖さもまた彼女や僕らが過ごす日常の延長に過ぎないことを彼女の詩に触れているとその流れ出てる血の温かさとともに感じます。

当詩集には『早稲田文学増刊女性号』に掲載された4つの詩すべて収録されています。